新たな「夢」をカタチにする技術創造メーカー 株式会社HCI

社長のコラム

奥山剛旭社長コラム

by 宮西ナオ子 Presents

宮西: 最初にHCIで外国人労働者を雇用したいきさつなどを教えていただけますか?

奥山: 優秀な人材の確保と雇用が非常に難しい時代を迎えています。弊社のようなモノづくりを基軸にする企業では、日進月歩の技術力を要求されますし、現場で働く人々の日々の勉強や努力も必要になってきます。そういう状況の中、地元を中心に日本人の従業員を採用してきましたが、彼らは一生懸命頑張ってはくれるものの、なかなか弊社の業務にマッチングしない場合が多く、自分なりに変革の必要性を感じていました。
今から6年前、経営者繋がりで、ある社長よりベトナムの方を採用しませんかという話がきました。自分は何事にも好奇心旺盛なので、すぐに採用してみようと思いました。最初に入社していただいたベトナムの方は、残念ながら現在は退社されています。しかし、その経験により自分達の勉強不足を痛感できました。その後、採用させていただいたベトナムの方はもう勤続5年になります。今ではベトナム人が4名、ミャンマー人が2名、そのほか松岡校長の学校から紹介されたブータン人が1人、インド人が1人、合わせて8名の多国籍の高度外国人従業員が頑張ってくれています。




HCIには多国籍の社員が働いている

宮西: 外国人が日本の企業で働くということは、それぞれの国の常識や商習慣の違いなどがあり、さまざまなギャップも生じるとは思いますが、外国の方に日本語のみならず、日本の常識や文化などを教えてくれる学校がファースト・スタディということですね。それでは松岡校長、どうしてこのような事業を起こされたのですか?

松岡: 初めてベトナムのホーチミンに行ったのが、2011年3月でした。その前年2010年7月に上海を訪れたのですが、実は当初の目的は駐在員のご子息の学習塾を現地に作るための視察でした。そのような中、私が塾で教えていた学生の父親がベトナムに関係のある仕事をしていた方で、その方の紹介でホーチミンを訪れることになったのです。ほぼ1週間の滞在中、現地邦人の集会を数回、企画してくれましたが、最後はベトナム人経営者の中で話をすることになり、一人の経営者からベトナム人に日本語を教えてほしいというオファーがありました。彼女は今後のベトナムは日系企業も増え、優秀な日本語を話せる人が増えれば増えるほど、両国の利益になると訴えました。それは考えてもいなかったことでしたが、ひとまず検討すると言ってホーチミンを去ったのです。




松岡: 帰国後、一心不乱になり日本語学校の調査をしました。外国からの留学生がどのように学んでいるのかを研究したところ、調べれば調べるほど留学生に対する扱いがひどいことがわかりました。さらに外国人労働者が過酷な目に合っていることを知りました。そして「賃金的に安くても逃げない労働者」という扱いを受けていることに義憤を感じました。こうして半年間、みっちり勉強し、収集した資料をもってホーチミンを再訪しました。現地では製造業からサービス業に至るまで日系企業の話を聞いて回りました。聴き取り調査中には、大手日系企業たちが談合して一般労働者の給料を制限しているというような噂も小耳にはさみました。また日系企業の現地の人に対する上から目線的な考え方を知って、「これではいけない。現地の方にも正当な雇用条件と賃金の勤務条件を提供したい」という私の正義心に突如火がついてしまったのです(笑)。彼らが語学の問題で低賃金に甘んじなくてはならないならば、日本語を話せたら高給取りにしてくれるのだなと思い、現地に日本語学校を作ろうと決心したわけです。

奥山: 正義感。松岡校長らしい(笑)




ベトナムにて現地学生と交流をする松岡校長

松岡: そこから日本語学校の設立に没頭し、2012年8月にベトナム・ホーチミン校を設立しました。

奥山: そんな短期間で設立できる?

松岡: 本来ならば、日本語学校を設立するときは、最初に日本国内での開校があり、安定経営してきたら、やっと海外に進出するわけですが、私の場合は正義感に火がついてしまった勢いで、最初から海外進出となってしまった(笑)。

奥山: すごい行動力!

松岡: 採算を考えずに作ってしまいました。しかし先ほど申し上げた現地の女性社長が動いてくれた結果でもあるのです。彼女は国営企業の社長でしたが、国営企業はベトナム戦争後12社しか認められていません。そのうちのひとつの会社のCEOですから、通常は学校設立にベトナムでは、2年かかりますが、なんと、7カ月で設立されたので、「奇跡の学校」とまでいわれました。以前杉良太郎さんがベトナムとの合弁企業としての学校をハノイに設立しましたが、弊社の場合は、日系資本100%で作っていることでも注目されました。そして今、設立して6年目に入りました。



宮西: 状況はどうですか?

松岡: 赤字経営です。というのも授業料を抑えているからです。当校の1か月あたりの授業料は2500円です。ベトナム国内では1か月6000円から7000円の授業料をとっている学校もありますが、この金額の授業料を払える人の数は限られています。というのもベトナムでは30代後半から40代にかけての平均月収が5万円くらいです。大卒初任給はホーチミンで3万円くらい。ハノイに至っては2万5千円ほどです。そこから授業料を捻出しなくてはならないわけですから非常に厳しいです。授業料が高額という理由で日本語を学びたいという意思から離れてしまうベトナム人を生んでしまうくらいならば、いかに最安値で提供できるかにこだわってきました。当校では、「よりよい教育で、より安く」をモットーにしているので、経営的には苦しいですが、この考え方は変えません。

奥山: それは現地の人にとってはありがたいこと。強いては自分達の利益にもつながるはず。




ファースト・スタディ日本語学校にて、ロボットについて説明する奥山

松岡: 当校では、大学と併学している学生が8割いますので、大学生でも学べる学校にしています。のちに日本で働くことができるように日本語の素地を作ることはもちろん、文化や日常生活の習慣などもみっちり教えています。当校に1年以上通えば日本の常識をかなり理解することができると思います。おかげさまで当校を卒業した人は、日系企業に就職しても、一般的初任給の1.5~2倍の初任給をもらえるという定評がありますよ。

奥山: 素晴らしい試みですね。しかし採算が取れない分はどうしているのかな?

松岡: 現地の人を企業に紹介するときにいただく紹介料を学校の運営費にあてています。企業の方には、現地と日本の関係を良好にするための費用としてとらえてくださいと申し上げています。
(第1話終了)

コメント
第1話では、HCIでの外国人従業員雇用の取り組みと松岡校長のベトナム・ホーチミンの日本語学校設立のいきさつを語ってもらいました。言葉はもとより、文化や習慣などの違いで誤解や行き違いが生じることは否めません。しかし事前にそれを知、対応することができれば、無駄な葛藤は激減するでしょう。二人の話はさらに盛り上がっていきます。さて、次号はどのような展開になるのでしょうか? お楽しみに。(第2話に続く)

<松岡将裕さんプロフィール>(一般財団法人国際人材普及推進協会理事長)ファースト・スタディ日本語学校校長
2003年から学習塾を展開。初めて渡ったベトナムで教育の原点を見る。2013年、現地に日本語学校を設立。2014年にファースト・スタディ大阪本校を設立。人材不足で苦しむ介護やものづくりなどの業界団体とタイアップし、優秀な留学生を送り込む。昨今の安易かつ危険な移民政策に疑問を持ち2018年一般財団法人国際人材普及振興協会を設立。高度に教育された外国人の日本への登用を推進、共生の社会づくりをめざす。