ケーブル・ワイヤー・チューブ・シート製造装置・試験装置メーカー・ロボットシステム・AIシステムのシステムインテグレータ

社長のコラム

奥山浩司(剛旭)社長コラム

by 宮西ナオ子 Presents

宮西: 髙木さんのヴィジョンを教えてください。

髙木: まずはロボットを普及させたいですね。これまでロボットが普及しない理由はいくつかありましたが、その中のひとつにSIerさんがロボットシステムを組むのが大変だと思っていることがあげられます。またエンドユーザーさんもロボットシステムは大変だと思っており、工場にロボットを導入しても採算が合わないなどと感じているので、なかなか普及できなかったのですが、まずはそのような考えを払拭したい。
 更には「総合ロボットメーカー」として、今まで使われていないところにロボットを導入したいですね。
 そのために何をすればいいのかと考えると、これからは「データ社会」ということに答えがあると思います。ロボットのハードだけをもっていっても、それだけでは何も生まれません。そこで様々なデータを集め、必要なデータを皆で共有できるようにしたり、データを加工して必要な人にサービスを提供するシステムを作りたい。そしてデータとサービスを使った新しいビジネスを生み出し、継続的に提供することが大切だと思っています。




自動PCRロボットシステム

宮西: 具体的にはどのようなことを?

髙木: ロボットSIerさんはシステムを組むのに、ネタがあればあるほど、簡単にシステムを作れるわけですから、そのネタを提供する。ロボットSIerさんの仕事が進めば、それに伴ってロボットの普及ができるようになるでしょう。加えて色々なサービスを提供すると、ユーザーさんも単にロボットを使うだけではなく、一緒に知識を得ることによってメンテナンスの効率や作業効率が上がったりして、ロボットの活用が広まっていくと思います。
 また、新しいところに参入しようとしても、ロボットを知らない人は、「どのように使うのかわからない」で終わってしまいます。そこで付随するサービスを伝え、それを提供できれば、具体的なメリットがわかりますから、そこで初めて導入したいと思うかもしれません。同時にロボットのある世界とロボットのない世界とが仲良くなることです。ここで「仲良くなる」というのは、人間同士のことではなくて、ロボットのある世界とない世界のことですから、まずはロボットの世界を作り、それに伴うデータのプラットフォームを創りたいと思っています。




髙木: 今、社会ではDX(Digital Transformation)が叫ばれていますが、我々も遅まきながら試みています。サプライチェーンのDXとエンジニアリングのDXがありますが、今はサプライチェーンのDXを試みています。
 また、ロボットのデータは一元管理ができており、お客様にも提供できるような体制になっているので、それときちんと結びつくようなプラットフォームができれば、弊社のデータを使いながらお客様に新しいサービスができるわけです。

奥山: 成程、データのプラットフォーム化は確かに重要だと思います。

髙木: そういったサービスを弊社だけで作るのは大変ですが、誰もが参加できて、みんなで使っていけるようなシステムを創りたいと思っています。
 例えばサービスを提供するサービスアプリをSIerさんに開発してもらうとか、エンドユーザーさんや大学などにも作ってもらって、どんどん広めていき、いろいろな人にサービスを提供していけるようにしたいですね。つまり新しいビジネスです。今までとは全く異なるビジネスモデルを作りたいですね。




kaleido

宮西: それでは次に奥山社長のヴィジョンを教えてください。

奥山: HCIは2017年からAIをはじめました。ロボットにAIは不可欠であると考えていたからです。しかし、東京に比べ、大阪ではAIベンチャーなど携わっている人・会社が圧倒的に少なかったので、自分達でAIを学ばなければならないと考え、アンダーグラウンドで(笑)勉強している学生さん達の中に飛び込み、一緒に勉強をすることにしました。そして、場所や資金を提供することで、地元泉大津市で「泉大津AI研究会」をつくり、勉強に励みました。今ではAIシステムを構築・販売しています。
サイバー(IT・仮想)においては、GAFAをはじめ海外勢に日本は圧倒的に負けています。
 しかし、フィジカル(駆動系・現実)においては、自動車産業で日本企業が生産台数一位ですし、産業用ロボットも同じく一位であり、これは我が国を代表する強みです。HCIでも高速回転する撚線機はミクロン単位の精度で仕上げることで磁気軸受撚線機のように高速回転での生産を具現化し、ロボットシステムでも同じく繊細な仕上げを行っており、同様の強みを有しています。今後はサイバー面を更に磨き、サイバーとフィジカルが組み合わさった「サイバーフィジカルシステム」でグローバルニッチを目指します。これからは高木さんが仰られたように、色んなところでDXが本格的に展開していきますが、HCIとしても「スマートファクトリー、スマートなサービス・店舗、スマートな医療」などでビジネスを変革できるよう、引き続き努めていきます。
 そして、HCIは、自分たちが「やりたい」と思うことを推進し、独自性を発揮し、それに対して誇りと責任をもち、人手不足問題が露呈している地域を、日本を、世界を救っていくことを一貫して行っていきます。




宮西: 最後に奥山社長から見た髙木さんとは?

奥山: 良い意味で異端児だと思います(笑)。大きな夢をもち実行されています。しかも3年先、5年先などを見据えつつ、その実行力にはスピード感があります。HCIは中小企業なので奥山が「やるぞ!」といえば、皆にその声が届き、社員はやってくれます。でも川崎重工業さんは大企業なので、その点は難しいと思いますが高木さんが「やるぞ」というとみんなが一致団結してやっておられる感があります。
それは、川崎重工業さんの風土なのですか?

髙木: うちの風土は「右向け右」といっても右を向かないですね(笑)

奥山: ということは髙木さんの人間力ですね。それゆえにみんなが付いてこられる。そして仕事をされている姿も楽しそうです。

髙木: 「楽しく仕事をする」というのが私のモットーなんですよ。

奥山: 素晴らしい。真のBossだと思います。髙木さんとご縁をいただいたことは本当に嬉しいです。



宮西: それでは髙木さんから見たHCI,奥山社長についてはいかがですか?

髙木: すごいと思うのはとにかく実行力があり、スピードがあるところです。そもそもロボット業界で一番大切なのがスピード感です。奥山社長のスピード感は卓逸ですから、奥山さんに使っていただけるようなロボットを作らねばならないと思って一生懸命追いかけているところです(笑)。

奥山: 恐れ入ります。ところで髙木さんの未来を予測する力はどのようにして培われていらっしゃるのですか?

髙木: 能力はないですが、いろいろな人の話を聞いています。自分より能力をもっている人や知恵をもっている人の数は計り知れませんが、そういう人の話を聞いていると、どんどんアイディアがわいてくるわけです。

宮西: 素晴らしいですね。お二人の出会いは日本のロボット産業にとっても福音ですね。本日はありがとうございます。(最終話終了)

コメント
これからの世の中、今までの経験値では全く予想もつかないようなスマートな世界がロボットやAIによって構築されていくようです。そのような世界を今、実際に構築しているお二人の対談は、とても未来的で、わくわくするものでした。明るい未来を目指して、現在の課題をひとつひとつこなしていく粘り強さや問題解決能力、未来予知能力などにも触れ、多くの感銘を受けた対談でした。
次回は岩田雅裕さんです。お楽しみに。