ケーブル・ワイヤー・チューブ・シート製造装置・試験装置メーカー・ロボットシステム・AIシステムのシステムインテグレータ

社長のコラム

奥山浩司(剛旭)社長コラム

by 宮西ナオ子 Presents

磁気軸受チューブラー型撚線機の開発の様子

磁気軸受チューブラー型撚線機の開発の様子

宮西: 2010年8月には「平成21年度ものづくり中小企業製品開発等支援補助金(試作開発など支援事業)(経済産業省中小企業庁)」に採択されたのですね? これはどのようなものですか?

奥山: 髪の毛より細いケーブルを作る時に、まれにケーブルが切れてしまう断線が発生します。この断線は振動起因かもしれないという懸念があったので、この振動を抑えるためにどうすればよいかをずっと考えてきました。そしてある時アイデアが浮かびましたが、開発する資金がありませんでした。
そのような折、経産省より補助金の公募があったので、申請したところ、技術が高く評価され採択されました。開発費1500万円の3分の2の1000万円を補助してもらい、自分のアイデアを具現化することが可能となりました。磁気軸受式チューブラー型撚線機STF-80eCを開発し、世界で誰もやっていないことを成し遂げることができたのです。のちに特許を得ました。もちろん多くの人の出会いや支援で成し遂げられたものです。

宮西: 同年には地域イノベーション創出研究開発事業用に特殊専用複合型ツイスターSDW-440HLAを大阪大学医学系研究科に納入されたのですね

奥山: これは医療用のワイヤーを作る機械です。産学連携でプロジェクトに参加されていたユーザー様より依頼を受けて、開発に成功し納入させていただきました。このように新しい技術を開発してプロダクトアウトしています。

2011年には無線通信機器AP-UMR-1を作りました。こちらを具現化するためには、無線に対する技術がなかったため協力してくれる人、会社との出会いが不可欠で、完成したときには出会いの大切さを痛感しました。

この年の11月には橋本さんが知事になって創造された「大阪ものづくり優良企業賞2011」に応募したところ、特別賞をいただきました。こうして今まではケーブル・ワイヤーメーカー殿だけにHCIの名前は知れていましたが、この賞を受賞することをきっかけに、一般の人にも知られるようになったと思います。


特殊線用複合型ツイスターSDW-440HLA

特殊線用複合型ツイスターSDW-440HLA


撚線機へ容易に無線通信が可能になった

撚線機へ容易に無線通信が可能になった


宮西: さらに多くの人に知られるようになったのが、NHKドラマ「タイトロープの女」への機械提供や技術指導ですね。


NHKのスタジオにて、ワイヤー技術指導者の奥山

NHKのスタジオにて、ワイヤー技術指導者の奥山

奥山: 当時、NHKのディレクターたちが、NHKのドラマ10という人気のドラマ番組枠の制作を企画していた時に、3つの候補があったようです。そのうちのひとつにワイヤーを作る工場が舞台になる企画があったようで、調査をされていたときに当社のことを知り、NHKより撮影協力を求めてきました。そこで以前開発した磁気軸受式チューブラー型撚線機STF-80eCをはじめ、数点の機械をお貸しして、実際にワイヤーを作るところの技術指導をしました。これも一般の方たちにHCIを理解してもらうよいきっかけになったと思います。

宮西: もうひとつの流れは平成21年についで、「平成24年度ものづくり中小企業製品開発等支援補助金(試作開発等支援事業)(経済産業省中小企業庁)」に採択されたことですね。

奥山: そうです。次にほしいと思っていたのは樹脂でケーブルを被覆する機械でした。長い間アイディアはあって開発をしたいと思っていましたが開発費がままならなかったです。
そこでこの募集に申請すると同じく経産省から補助金が出ました。これをもとに、超極細専用押出機EF-12Aを1年くらいで開発しました。これらのように多くの機械の開発が実現できたのは、本当に幸せなことです。

宮西: 2014年には三菱電機MELFAロボットSIパートナーになられたのですね?

奥山: それまで我々は三菱電機のロボットを買ってシステムを構築してきました。どんどんロボットを購入して実績がついてくると、先方からのオファーでパートナーにならせていただきました。
最初は普通のパートナーでしたが、さまざまな実績を認めていただき、2016年1月からはゴールドSIパートナーになりました。これは当時、世界で5社しか認めてもらっていない特別なパートナーシップです。
また2010年に開発した磁気軸受式チューブラー型撚線機の特許を2015年に取得することができました。2015年11月には国際ロボット展(会場ビックサイト)に初出展することもできました。これも三菱電機さんのおかげです。

宮西: こうしてワイヤーだけでなく、ロボットの分野でも知名度があがりつつあるのですね。

奥山: おかげさまで日本ロボット工業会の会員にもなりました。また2016年8月には、「日本ロボット購入実証補助事業・ロボット導入FS補助事業」に採択されました。そこで当社はワイヤー・ハーネスを端末加工するロボットを開発することになりました。その話題については、『電線新聞』という業界の新聞やホームページにも掲載されています。このような実績から当社もロボットに関する知名度が上がっているといえるでしょう。
また平成29年5月には、ロボットシステムインテグレーター育成事業があり、344件が申請しましたが、37件しか通らず10倍の確率でしたが、そのなかの一つにHCIが選ばれました。ロボットに関しても補助金をもらい、認めてもらっている会社になりました。
(第4話終了)


国際ロボット展にて、営業マネージャーと

国際ロボット展にて、営業マネージャーと


ロボット開発DRの様子

ロボット開発DRの様子