新たな「夢」をカタチにする技術創造メーカー 株式会社HCI

社長のコラム

奥山剛旭社長コラム

by 宮西ナオ子 Presents

宮西: お二人の運命的な出会いを教えてください。

奥山: 私は小平さんとの出会いを鮮明に覚えています。その話をするには、HCIのロボットSIerとしてのはじまりからお話させていただきます。

HCIは2009年9月に初めて三菱電機製のスカラーロボットで検査工程のロボットシステムを造り、2014年6月に三菱電機さんよりロボットパートナーの依頼をいただき、それをお受けすることでロボットSIパートナー会に参加することになり、そこで小平さんと初めてお会いしました。

会合後の懇親会で小平さんをご紹介いただき、ロボティクスに没頭されてこられた先駆者としての歴史に加え、ロボット全般の良いところや悪いところの話や、将来のロボットの話をお聞かせいただきました。私は夢中になっていろいろな質問をしてしまったことを今も忘れません(笑)


宮西: 三菱電機さんのパートナーに選ばれるということは栄誉あることですよね。

小平: 実は裏話を申しますと、当日、懇親会での席は最初から指名を受けていたのです。パートナー会での僕の役割はSIerのみなさんと挨拶をして、懇談をすることなのですが、担当の営業から「最初はHCIさんについてください」と言われました。うちの営業が優秀で、「この会社は能力があるな」と思ったのでしょう。そこで奥山さんのテーブルに留まり、話をしたのですが、奥山さんが熱心なものだから、そこから離れられなかった(笑)。通常ならば、他のテーブルを渡り歩いてご挨拶をしなくてはいけないのですが、あの日だけは最後までHCIさんのところにいましたね(笑)

奥山: ええっ、今、初めて知りました。光栄です。

小平: 奥山さんとの話が面白かったからですね。
新鮮で魅力的でした。ロボット業界に毒されていないし(笑)2時間くらい話していましたね。


奥山: そんな裏事情があったとはつゆ知らず。大切な方を独占してしまったのですね(笑)

小平: SIパートナーという考え方は1990年代にシステム商談対策として生まれた考え方で、当時は、システムの仕事が来たらすぐに動いてもらえるようなパートナーが10社くらいありました。
それが変化してきたのは、リーマンショックの頃、2008年ごろからです。ロボットの適用分野の広がりが大きくなり、そのころからシステム構築のプロとしての有力なSIさんをパートナー会として具体的に体制化する方向に進みました。

この頃からパートナーは、一番近いお客さんとして考え、ロボットはエンドユーザーというよりも、まずはSIerさんに使っていただくという理由で、どちらかというとSIerさんとの距離を縮める動きになり、そのような時にHCIさんと巡り合ったわけです。

宮西: いいタイミングだったのですね。


奥山: おかげさまで翌年2015年11月の国際ロボット展で、三菱電機さんのブースで出展させていただきました。3mm角の表裏がある極細ワークのバラ積ピッキングするロボットシステムを三菱電機製ロボットとカメラで構築し、出展しました。

そして関西地区の主要SIパートナーの指定をいただき、2017年の国際ロボット展も三菱電機さんのブースでケーブルを使った多芯ワイヤーハーネス自動製造のロボットシステムを発表しました。
世界の50万人が従事していると言われるワイヤーハーネス製造でのロボットによる利活用を提案できたのではないでしょうか。

小平: 御社のシステムは好評でしたね。
ケーブルのような柔軟物を扱うことが得意なSIerさんということでHCIさんが浮上したでしょう。


小平: 実際にワイヤーハーネスを最初から最後まで全自動化するのは大変難しく、満足のいくシステムはできませんでした。難しい課題がいくつかあったのに、HCIさんには、それをクリアしていただいきました。


奥山: チャンスを与えていただきありがたいです。

小平: そもそも、何がよかったかというと目的がはっきりしていたことです。今までも「何となくすごい」というシステムはあるのですが、何に使うか目的が不明でした。しかし御社の場合は、ケーブルを材料の状態から処理して使えるようにしていくプロセスも優れていたし、AIを取り込んでいただいている技術などもあり、非常によくできたシステムだと思いました。


小平: 基本的にロボットメーカはロボットやセンサーを販売していますが、最終的にはシステムを組んでくれるSIerの存在がないとビジネスができないという宿命にあるのです。SIerはロボット業界で大事な裾野といえるでしょう。

例えば去年、日本では年間およそ20万台の産業用ロボットを生産しています。三菱電機でも以前は年間数千台規模の生産でしたが、最近は1万台を超える規模になっています。そもそもロボットメーカはロボットの生産出荷が手一杯で、エンドユーザごとのロボットシステムまではとても対応できるはずもなく、ここはSIerさんにがんばってもらうしかありません。マーケットの拡張、国際化につれてどのロボットメーカもSIerとのパートナーシップを求めるようになりました。しかも単に技術だけではなく、事業形態にも影響を与えます。ニーズが増え、多様化するにつれ、ロボットメーカ、SIer、エンドユーザが協力する必要性が出てきましたからね。

コメント
必然的な流れで出会ったお二人。時期的にもSIが求められている時代。ロボット業界にも新風が吹き、新しい技術や事業形態の構築に向かって進んでいるときでした。ロボティクスの大ベテランと独自の強みを持つ若きSIerがつないでいくロボット産業の未来。次回では小平部会長に産業用ロボットの歴史と課題を中心に教えていただきましょう。(つづく)
(第3章につづく)